キッズアース播磨町校「共明塾」

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【磁石のひみつ】磁石の歴史と日本の研究者たち

    03_自由研究,理科
理科実験教室ベーシッククラスで「じしゃくをつかって」「じしゃくをつくる」と、
磁石」を使った実験を行いました。

磁石」の実験は子どもたちに人気の実験です。
そして、「磁石」は私たちの生活に深く関わっています。
さて、近代の磁石の歴史に、日本人が大きく関わっていることをご存知でしょうか。

そもそも磁石は、古代ギリシア時代には、存在が知られていたそうです。
また、3世紀頃の中国には「指南魚」というものがあり、磁石が利用されていたことが分かります。
(ちなみに「指南車」というものもありますが、これは歯車の機構を利用したもので、磁石とは関係ありません。)
しかし、これらの磁石は、天然のものが使われ、磁力は弱いものでした。
人工的な永久磁石が作られたのは、20世紀に入ってからになります。

ボルタ電池を発明したのが1800年。
1820年、エルステッドが個の電池を使って電流を流すと、磁針が振れることを発見します。
同年、アラゴは、電流によって、鉄を磁石に出来ることを発見し、
1825年、スタージョンにより、電磁石が発明され、
1831年、ファラデーによる電磁誘導の実験が、磁石電気の関係を導きました。

そして、時は進んで、1917年。
東北帝国大学の本多博士により、KS鋼が発明されます。
これは、従来の3倍の保磁力を持つものでした。
しかし、1931年。
東京帝国大学の三島博士が、KS鋼より安くて硬く、
しかも2倍の保磁力を持つというMS鋼を発明します。
1934年。
本多博士は「新KS鋼」を発明。
最初のKS鋼の4倍の保磁力を持ち、世界一の座を奪還しました。
1937年。
東京工業大学の加藤博士・武井博士によりフェライト磁石が発明されます。
強いわりに安価なこの磁石を製品化し、工業化したのが東京電気化学工業、今のTDKです。
フェライトは、トランスやアンテナ・コイルの性能を向上させる性質があり、ラジオやモーター、テレビなどの主要部品として使われました。
また、加工が容易なので、カセットテープやフロッピーディスクといった磁気記録媒体、あるいはマグネットシートや、ピップエレキバンのような形での使われ方もされます。
1982年。
住友特殊金属の佐川博士がネオジム磁石を発明。
現時点では、最強の磁力を持つとされていて、工業用にも広く使われ、我々の生活の中でも、HDDや携帯電話、電車、ハイブリットカー、エレベーターなどに利用されています。
2004年には、イギリスのダラム大学で非金属のプラスチック磁石が開発され、今後の利用が期待されています。

ざっくり磁石の歴史をみてきましたが、近代の生活に欠かせない磁石の発明・開発に、多くの日本人研究者が関わってきたことが分かります。
これからも、より保磁力も磁力も強く、安価な材料が模索され、技術をさらに進歩させていくことでしょう。
子どもたちの磁石への興味が、未来の技術革新につながっていくことを楽しみにしています。
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